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コラム

【改正育児・介護休業法】
令和4年4月から順次施行

 “育児・介護休業法”は、これまで幾度と改正されてきましたが、今回の改正の柱は“出生時育児休業(男性版産休)”の創設になります。
 厚生労働省の調査によると、令和元年度の育児休業取得率は女性が83.0%であるのに対し、男性は7.48%と依然低い水準となっており、その背景には、職場の風土(育児休業を取得しづらい雰囲気)や人手不足等により一度に長期休業することが難しいといった企業側の要因が大きく影響していました。
 この問題を解消し、夫婦が協力して子育てに取り組むことで、“女性従業員の離職の防止”と“仕事と育児の両立”ができるよう現行よりも大幅に柔軟な制度に改正されます。
 改正の主な内容は下記のとおりです。

  1. 出生時育児休業の創設
  2. 雇用環境整備、個別周知・取得意向確認の義務化
  3. 育児休業の分割取得等
  4. 有期雇用従業員の育児・介護休業取得要件の緩和
  5. 育児休業取得状況の公表義務化

 

1.出生時育児休業の創設

 子の出生後、女性は産後休業(最大8週間)を取得できますが、男性も育児のための休業を取得することが可能となります。また、現行の育児休業時と同様に、出生時育児休業中も雇用保険から休業給付金が受けられるようになります。

対象期間
取得可能期間
子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
申出期限休業の2週間前まで(現行は1ヶ月前)
分割取得分割して2回取得可能

休業中の就業
別途労使協定を締結している場合に限り、
従業員と会社で合意した範囲内で休業中に就業可能
(就業できる時間等の上限は設けられる予定)
2.雇用環境整備、個別周知・取得意向確認の義務化

 育児・介護休業は法整備がされているものの、取得する従業員の周囲の者の制度への理解が浅かったり、復帰後の昇進に影響するのではないかという懸念から取得が進まない状況がありました。
 そこで、以下の措置を行うことで、企業側から従業員に休業の取得を働きかけることが義務づけられます。
・育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修の実施、相談窓口設置等)
・妊娠・出産の申し出をした従業員に対して、制度の個別周知(面談、書面による情報提供等)と、休業の取得意向の確認

3.育児休業の分割取得等

 現行では育児休業の分割取得は原則できませんが、今回の改正では、1の出生時育児休業とは別に育児休業を分割して2回まで取得できるようになります。これにより、1歳までに男性は最大4回・女性は2回に分けて休業することが可能になりますので、仕事との両立が取りやすくなると考えられます。
 また育児休業は、原則子どもが1歳になるまで取得可能ですが、保育所に入所できない等の理由があれば、1歳から1歳6ヶ月になるまでの休業(延長の育休)と、1歳6ヶ月から2歳になるまでの休業(再延長の育休)が認められています。ただし、現行では延長は現在行っている育児休業から引き続き行わなければいけませんが、こちらが改正され、延長する場合の育児休業の開始日を柔軟に設定し、夫婦交代で取得できるようになります。

4.有期雇用従業員の育児・介護休業取得要件の緩和

 現行では、有期雇用の従業員が育児・介護休業を取得できる要件として下記2つがありますが、今回の改正でAの要件が廃止され、Bの要件のみとなりました。
A. 引き続き雇用された期間が1年以上であること
B. 子どもが1歳6ヶ月に達するまでの間に契約が満了することが明らかでないこと
 ただし、無期雇用の従業員と同様に別途労使協定を締結することでAの要件を対象外とすることが可能なため、労使協定を締結している場合は、実質的な取扱いは変わらないことになりそうです。

5.育児休業取得状況の公表義務化

 従業員数が1,000人を超える企業に対し、育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられます。
 
 改正された法律は令和4年4月から順次施行されますが、今回の改正による就業規則(育児・介護休業規程等)の変更は広範にわたりますし、育児休業の回数や期間それに付随する社会保険手続の期日管理が今まで以上に重要となりますので、施行日の間際で慌てることのないよう準備を進めておく必要があります。

育児・介護休業法 改正ポイントのリーフレットはこちらクリック
改正法の概要はこちらクリック

 

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大塚寿里
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